「SSSS.GRIDMAN」を見て感じた気持ちから「電光超人グリッドマン」を全話見た感想

 どうも!バーチャルブロガーのリベレイト羊華です!

 今期アニメも早い作品では3話が放送されるようになった時期ですね。アニメで3話といえば色々なネタがあるタイミングです(有名所では「魔法少女まどか☆マギカ」、そこら辺を狙ったものとしては「えとたま」とかがありますね)

 今期の推していきたいアニメに関しては別途で記事を書きたいと思っておりますが、今回はとあるアニメの原作、そしてそれに付随したアニメについて語りたいと思います。

 それは「SSSS.GRIDMAN」、そしてその原作にあたる特撮作品電光超人グリッドマンです。

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 ※この記事には電光超人グリッドマンのネタバレを多く含んでおります。

 

電光超人グリットマンとは

  電光超人グリッドマンとは、現在も新作やスピンオフ作品が作られているウルトラシリーズで有名な円谷プロが1993年に制作した特撮作品です。

 ハイパーワールドと呼ばれる異次元から現れた魔王「カーンデジファー」とそれを追って地球へとやってきたハイパーエージェントグリッドマンとの戦いを描いた作品。グリッドマンは中古PC「ジャンク」を趣味で作っている少年少女、「翔直人」「馬場一平」「井上ゆか」に強力を依頼。それに対する形でカーンデジファーは根暗なコンピュータオタクの少年「藤堂武史」を洗脳して手下として怪獣を作らせ、「コンピュータ・ワールド」を襲わせていきます。

 本作の戦闘は現実世界とは異なるコンピュータ・ワールドで繰り広げられていき、カーンデジファーは武史の作ったコンピュータ・グラフィックの怪獣に命を与え暴れさせ、グリッドマンは直人と合体することで力を得て戦っていきます。

 コンピュータ・ワールドとは、文字通り「コンピュータ内に広がっている世界」のことで、その世界が破壊されるとコンピュータ異常が発生し現実世界に反映されます。例えば「水道局のコンピュータ・ワールドを破壊し浄水機能を狂わせることによって濃塩酸へと変える」、「自動運転の自動車のコンピュータ・ワールドを破壊し、自動車を暴走させる」と言った、現代でも下手したら起こってしまいそうなコンピュータ犯罪から、「大学のコンピュータをハッキングしタイムマシンに改造して過去から武蔵坊弁慶を呼び出す」「占いマシンのコンピュータ・ワールドを破壊、改造してカーンデジファー自らが洗脳光線を発射する」「怪獣から照射される『ツッパリ光線(原文そのまま)』をドライヤー経由で浴びた人間を不良(スケバン)に変えてしまう」などのちょっとおかしい「これコンピュータ関係あるかな・・・?」と言った出来事が起こります。(まあ20年前以上の作品なのでそこはご愛嬌)

オススメできるポイント

 コンピュータ・ワールドという身近であり遠い世界の扱い

 本作は先述のコンピュータ・ワールドでの出来事が事件の発端となっていきますが、グリッドマンをサポートするゆかや一平がジャンクから見たり、怪獣に支持を出す武史が自分のコンピュータから見るといった描写以外では、基本的に描かれておりません。

 そんな最中大人達や街の人達は謎のコンピュータ暴走によって被害を受けているので、「確実に何かが起きているのに誰がやっているのかわからない」と言った構図が産まれます。

 こういった構図は必然的に「誰かがどこかで人知れず悪と戦っている」と言ったヒーロー物の要素を発生させています。また、その要素を発生しているコンピュータ・ワールドが「コンピュータと言う当時基準で考えても身の回りある物の中にある世界」と言った点も、視聴者に感情移入させる良い設定であると思います。

 魅力的過ぎる敵キャラ、藤堂武史とカーンデジファー様

 本作は主人公達を含めて魅力的なキャラクターが多くいますが、その中でも恐ろしいほどの魅力を出しているキャラクターが居ます。それは本作における悪役キャラの藤堂武史とカーンデジファーです。

 武史は先述の通り根暗でありやることなすこと上手くいかないコンピュータオタクの少年です。そんな彼の心の闇を感じ取りカーンデジファーは彼を洗脳するのですが、まあこの二人(?)、とにかく面白いです。

 例えば武史は、毎話彼の身の回りに起こった不幸や理不尽から産まれた負の感情を怪獣制作という形で発散します。その理不尽というのも「ガムのポイ捨てを注意したら返り討ちにされた」、「家の中に怪盗が盗みに来た」、「ラジコンで遊ぶ子供のペイント弾にあたって怒ったが逆にバカにされた」と言った彼の中の良心や実際に起こっている理不尽があります。

 一方で「占いマシンの言う通りのファッションでヒロインに近づいたらオカマに好かれた」「コンピュータ・グラフィック大会で酷評された腹いせ」「美人婦警の太ももを覗いていたらカーンデジファー様の秘密メモの入ったカバン毎別の婦警に没収された」と言ったしょーもない理由であったりします。

 また、魔王であるカーンデジファーもかなりの面白いキャラだったりします。それこそ序盤で武史を洗脳したり、ラスト2話で失敗続きの武史を見限り捨てたりしますが、本編中にティラノサウルスが恐竜の帝王というテレビの発言に対して『帝王は自分一人でいい!』と対抗心マシマシで言っちゃう」「オカマに絡まれた武史に対して思わず笑ってしまい、その後に思わず訂正しちゃう」「とある回で別のコンピュータ使用者に怪獣を作らせるが可愛い怪獣を作ったことに対して思わず動揺しちゃう」と言った可愛らしい()仕草を見せてきます。

 その様子はまるで初代TFのメガトロン様やアニメ版黄金バットのナゾー様を見ているようであり、作中での呼び方にならい、カーンデジファー様と呼んじゃうぐらいには魅力的なキャラクターです。

電光超人グリットマンを踏まえた上でのSSSS.GRIDMAN

 電光超人グリッドマン最終回から約25年の現在、正確には2015年に日本アニメ(ーター)見本市にて公開された電光超人グリッドマン boys invent great hero」という短編作品から約3年、TVアニメ作品として現在放送されているのが「SSSS.GRIDMAN」となります。

 あらすじとしては以下の通りになります(公式サイト引用

ツツジ台に住む高校1年生の響裕太は、ある日目覚めると記憶喪失になっていた。
そして裕太は古いパソコンに映る『ハイパーエージェント・グリッドマン』と出会う。
グリッドマンは使命を果たせと語りかけ、裕太はその言葉の意味と記憶を探し始める。
突然の事に戸惑いつつも、クラスメイトの内海将や宝多六花、新条アカネたちに助けられながら毎日を送る裕太だった。が、

その平穏な日々は、突然現れた怪獣によって容易く踏みつぶされた――。

 本作では原作にあったコンピュータ・ワールドという概念がなく。現実世界にて実際に現れた怪獣に対して主人公である「響裕太」が原作同様に中古PCジャンクに存在するグリッドマンと合体し戦っていきます。

 アニメ自体の描き方について、2話の時点での話ですが、戦闘パート以外ではBGMが流れておらず、それでいて話の展開を飽きさせない伏線を張っています。そして戦闘パートではCGと手書き作画を、静と動を上手く使い分けている印象があります。

 そして本作は、原作のオマージュがふんだんに散りばめられている作品でもあります。例えば両作品に出てくる中古PCジャンクに関しては画像を見れば一目瞭然、細かなボタンの配置に関しても原作とほぼ同じです。

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 グリッドマンの戦闘シーンに至っては、3DCG制作を担当しているグラフィニカの公式ツイッターでは以下のように言及されています。

 また、原作の再現度の高さから本作の設定に関しても考察できる場面があります。それは1話にも出てきた街に佇んでいる巨大な怪獣についてです。この怪獣、原作グリッドマンにも似たような姿の怪獣が出てきます。それは「毒煙怪獣ベノラ」と言って、「両肩の気門から出る毒ガスはグリッドマンの中枢神経を麻痺させる」と言った性質があります。

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 本作では1話の時点では主人公以外がこの怪獣の存在に気づいておらず、2話で街が元通りになった事に気づいた主人公含めた3人がこの怪獣に気づいた事を考えると、「実はこの世界そのものが作り物、コンピュータ・ワールドではないか」という考えが出てきます。

 これらのこだわりやオマージュから、本作がいかに原作グリッドマンを見ていればいるほど楽しめるかがわかるかと思います。

藤堂武史と新条アカネについて

 実はこの記事、この事が書きたくて長々と感想を書いていました。

 SSSS.GRIDMANには原作のグリッドマンにおける武史とカーンデジファー様と同じ立ち位置のキャラが居ます。それは「アレクシス・ケリヴ」「新条アカネ」です。

 新条アカネは今現在Twitterを見れば分かる通りメッチャ流行っている(エッチなイラスト方面でも)キャラです。ですがその本性は「怪獣を作ってアレクシス・ケリヴの力で暴れさせ、嫌であったり気に食わない人間を殺しては思いっきり喜んでいる」というとんでもない性格であり、作中で命に関わる作戦の時は反発する程には常識があった武史よりも危険なキャラであると言えます。

 彼女が怪獣を暴れさせた理由についても、2話の時点では「教室でバレーボールが当たってスペシャルドッグが落ちた」「ぶつかったが、ぶつかった相手が歩きスマホをしていたから謝りもしなかった」と言ったしょうもない理由です。(1つ目に至っては遊んでいた張本人が謝ったにも関わらず)

 何故新条アカネがこのようなキャラクターで描かれているのか、憶測の域になってしまいますが、原作のとある回を見てしまったが故に考えてしまう所があります。それは原作の33話、「もうひとりの武史」という回です。

 「もうひとりの武史」とは

 今回ではとあるゲストキャラが現れます。それは武史と瓜二つの「タケオ」と言うキャラです。タケオは武史とは異なり、好青年で運動神経抜群、危険な事にも我が身を顧みず人助けをすると言った人物で、武史はそんな彼に自分のコンプレックスを重ね憎悪するようになります。

 そして例のごとく彼を襲うために怪獣を作り、コンピュータ・ワールドで暴れさせ、グリッドマンの手によって事件は解決。翌日直人達はタケオと遊ぶために電話をかけますが、電話は留守で3人は彼を待ちます。

 直人達の元へと向かうタケオ、だがその行く手に待ち伏せる武史、その手にはカッターナイフが握られています。「僕の手で、あいつを殺してやるんだ!」とその眼と発言には確実な殺意があります。

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 そしてタケオに迫る武史、だがタケオはそんな彼に微笑んで見つめる。思わず足を止める武史、彼の目の前に居たのはタケオではなく、幼き日の武史本人でした。

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 少年は呆然とする武史に折り紙で作った紙飛行機を手渡す。それは彼が幼少期、お手伝いさんのばあやに「大きくなったらばあやと一緒に世界一周するんだ」と夢を語り、そのばあやに飛ばしてもらった紙飛行機そのものでした。その紙飛行機は当時、両親に踏み潰され、幼少期の武史には深いトラウマとなりました。

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 気がつくと幼き日の武史は消え、彼の手には紙飛行機とカッターナイフが握られていました。そして彼はカッターナイフを捨て、その紙飛行機を見て泣き崩れました。そして次のナレーションでこの回は終わります。

 「武史が幼い頃、大きくなったらこんな人間になりたい。そう思った姿が、タケオ担って現れたのかも知れない。」

 実は直人達が電話した先、それは武史の家の受話器に繋がっており、このナレーションと相まって、タケオ=武史であるという認識がほぼ正解となります。

 彼が明確な殺意を持つ回はこの回のみであり、その相手が理想とする自分そのものと言う、この回はそんな辛い思いの詰まった回となっております。

「もうひとりの武史」と新条アカネ

 では何故この回で新条アカネがあんな描かれ方をしているのか考えてしまうようになったのか、それはOP映像や彼女の部屋のシーンにあります。

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 OPのラスト付近で出てくるカッターナイフ、そして彼女が怪獣制作で使うカッターナイフです。このデザイン、先程の武史が握っていたカッターナイフと同じデザインとなっています。

 武史の殺意の象徴となっているカッターナイフを、新条アカネは握って人を殺している。新条アカネはあの時カッターナイフを握りしめたままタケオを殺した”if”の武史ではないか?と勘ぐってしまいます。

新条アカネというキャラはどうなっていくのか

 原作のグリッドマンのラストは、主人公3人組と武史が協力し、カーンデジファーを倒し、グリッドマンが元の世界へ帰ります。その帰り際、協力してくれた少年少女たちに感謝の言葉を送りますが、武史には以下の言葉を送ります。

 「武史君、もう君は独りじゃない。これからはみんなと力を合わせ、未来を切り開いていくんだ。」

 そして主題歌である「夢のヒーロー」には次の歌詞があります。

 「もしも心を擦りむいても 怯えないで もう君は独りじゃない」

 実はこの曲は最終回で武史に向けられた言葉であったことがわかります。

 

 そしてSSSS.GRIDMANのOP「UNION」では退屈そうに教室の窓の外を見ている新条アカネのシーンで以下の歌詞が流れます。

 「君を退屈から救いに来たんだ」

 ここまで原作のオマージュや忠実さを描いているSSSS.GRIDMAN、果たして彼女はどのような形で退屈から救われるのか、今後の展開に期待したいと思います。

あとがき

 如何でしたでしょうか。恐ろしく長い記事になってしまいましたが、以上がグリッドマンの感想となります。

 電光超人グリッドマンAmazon prime videoで、SSSS.GRIDMANはAmazon prime videoの他、ニコニコ動画等の動画配信サイトにて配信しております。もしこの記事で興味が湧いたら、ぜひ見てください。

amzn.asia

ch.nicovideo.jp

次回の更新は、ちょっとしたイベントに参加するので、そのレポを書く予定です。

それでは皆さん、ごきげんよう